3月14日。
吹雪はまだ、お兄ちゃんとの接触を禁止されていた。
なので、ひとり部屋で本を読んでいたのだけれど……。
とんとん。
「吹雪ちゃん、いるかな……?」
「はい」
扉を開けて入ってきたのは、綿雪だった。
「どうしたんですか、綿雪」
にこにこと微笑んでいた綿雪が、ひとつの箱を差し出す。
「これ、お兄ちゃんからだよ」
「私に?」
「よく冷やして食べてね、って」
「…………」
几帳面な手つきで、素早く箱を開ける吹雪。
なかには、ちょっといびつな形の、白いチョコが入っていた。
一緒に入っていた紙を読むと、苺をホワイトチョコでコーティングしたお菓子で、冷やして食べるとおいしい、と書いてある。
「……?」
すると、その紙といっしょに、1枚の小さなカードが入っていた。
カードには、書かれた、短い言葉。
「Heart to Heart.
身体は触れ合えないけど、せめて心だけでも届けられたら…」
じっ、とカードを持ったまま、吹雪の動きが止まる。
「ふ、吹雪ちゃん……?」
ぱく。
突然、吹雪が入っていたチョコを1個口にする。
「え!?」
「り、理解、不能、です……なぜか、勝手に、手が……あ、眩暈が──」
「ふ、吹雪ちゃん!?」
結局、軽い眩暈ですんだおかげで、大事には至らなかったのだが──
なぜか兄は、霙姉さんに説教されるハメになったとか。
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なんとなく思いついたので、書いてみたSSとイラスト。
他人と触れ合えないという吹雪の体質は、はかなげ属性大幅アップで綿雪との相性もバッチリだと思うのです。
- 作品名
- 吹雪ホワイトデー
- 登録日時
- 2008/03/18(火) 00:00
- 分類
- BabyPrincess